うそ……。
頭の中が真っ白になる。
「無理して忘れなくていいって言ったの、俺だけどさ…さすがにちょっと酷くない?」
待って。状況が飲み込めない、整理がつかない。
「佳奈ちゃんの話って、俺と別れたいってことでしょ?」
何も言えない。
何を言ったらいいのか、分からない。
ただ…
「いいよ、別れるよ。二股かけられるのは、さすがに無理だし」
先輩の言葉が、鋭く胸を刺す。
「……」
藤原先輩って、こんな事を言う人だった…?
目の前に居る人が、別人のように感じられて、怖くて顔が見れない。
何の言葉も発っせられず、立ち尽くす私を横目に、先輩は立ち上がって、手をはたいた。
「…用事あったのに、引き留めてごめん。じゃあ」
そう言って、先輩が私の横を通り過ぎた瞬間、フッと冷たい風が吹く。
遠ざかる足音。
先輩が離れて行くのに、私は動こうとしない。
言わなきゃいけないことが、あるはずなのに…頭の中が空っぽになったみたいに、考えられない。
「佳奈ちゃん」
ビクッ
立ち去ったはずの先輩が、私を呼んだ。



