「ひゃっ…」
あまりに不意だったから、私は先輩の方に倒れかける…と、
え……?
先輩が、顔を近付けた−…。
「……いやっ!」
ドンッ!
お互いの唇が、触れそうになった瞬間。
私は思いっきり、先輩を突き飛ばしていた。
「…って……」
その反動で、尻餅を着く形で倒れた先輩。
「ごめんなさいっ!」
慌てて手を差し出すけど…
先輩は私の手を取らない。
それどころか、
「ふっ…ははっ…」
座るように倒れて俯いたまま、何がおかしいのか、いきなり笑い出した。
「先輩…?」
恐る恐る声をかけると、先輩は笑うのを止める。
そして…
「俺、そんなお人よしじゃないよ?」
顔を上げた先輩。
いつもある笑顔が…そこには、ない。
あるのは……藤原先輩とは思えない、冷やかな表情。
「佳奈ちゃんが岡田と付き合うの、おめでとうって言えるほど、お人よしじゃないよ?」
「なっ…!」
何で知ってるの−…?
ひどく驚く私を、先輩の言葉が更に驚かす。
「昨日二人が話してんの、聞いてたんだ」



