13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


翔の前と同じ…。

言いたいことを…また、言えないまま…雰囲気に流される?


−…そんなのダメ。


藤原先輩と翔、二人と付き合っている状態の私。

このままで良いわけがない。

先輩に好きと言われても…私は……。

自分の気持ちが固まっている以上、ちゃんと伝えなきゃいけない。

…それが、先輩を傷付ける結果でも。

震える手に力を込め、ギュッと拳を作る。

「あの…私っ…」
「佳奈ちゃん、こっち」
「えっ?」

やっとの思いで口にした、私の言葉を遮り、先輩は私の腕を掴んで、引っ張るように歩き出す。

「…先輩っ?」

急に生まれた、“怖い”という感情。

それは、強く掴まれた腕のせい。

今まで何度も、腕を掴まれたことはある。だけど、痛いと感じるほど、強い力は初めてで…。


連れて来られたのは、体育館裏。

足を止めても、先輩は腕を離してくれない。

やだ…。

ふたりっきりの、静かすぎる場所。
言いたいことが、また自分の口から、遠ざかるような気がして、

「せんぱ…」

そうなる前にと、呼び掛けようとした…その瞬間、

先輩は掴んだ腕を引いて、私を引き寄せた。