13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


昨日よりも早く起きて、充分すぎるほど、余裕を持って登校する。

学校へと続く桜並木道…。

俺はその半分くらいの場所で、足を止めた。


それは昨日、先輩と出逢った場所。
ひらひらと舞い落ちる桜が、気持ちを高ぶらせる。

あまりにその姿が綺麗で、昨日の出逢いが、まるで運命の様に思わせる。

立ち止まったのは他でもない、先輩を待つ為だ。

人の波から姿を捜す。

もしかしたら今日も遅刻して来るのかも…。そう思った時、意外にも早く先輩は見つかった。

「先輩っ!せんぱーい!」

手を大きく振って、こっちにいる事をアピールする。

先輩は俺に気付くと、周りにキョロキョロと首を振った後、少し恥ずかしそうに、下を向いて駆け寄って来た。

ちょっと大きな声で呼びすぎたかな…。

「先輩っ、おはようございます!」
「お、おはようございます…」
「何で手ぇ振ってくれないんっすかー?」

答えは分かっていたし、どちらかと言えば謝らなければならないのに、ついテンションが上がって、いじめてしまう。

「ごめんなさいっ…えと、それより…」

先輩は何かを言いたそうにしながらも、言葉に詰まった。