「ごめん、今日用事があって…。帰っていいかな?」
教室の掃除当番。
申し訳ないと思いながら、同じ班の子に申し出た。
「いいよ」と、笑顔で受けてくれたクラスメートに、「ありがとう」と、お礼を言って、急ぎ足で教室を出る…。
その間際、振り返って教室内に居る翔を見た。
翔は友達と話をしていて、すぐには動きそうにない。
安心した私が、向かう先は体育館。
昼休憩の後、藤原先輩がメールで、指定してきた場所。
少しすれば人が集まる。
同じバレー部の人達も…翔も。
私が今から話そうとしていること。それは、絶対に誰にも聞かれたくはない。
だから、とにかく急ごうと思った。
先輩が早く来なければ無意味だけど、何となく早く来る気がしてた。
「っ−…」
ほんの少し切れた、私の息。
「早かったね」
予感通り、体育館の前には既に、藤原先輩が居た。
「私も…話があって」
言いながら、ゆっくりと先輩の目の前まで歩いて行く。
距離を縮めるほど、ドクン、ドクンと、うるさくなる胸の鼓動。
「話って?」
「あの…」
覚悟を決めて来たはずなのに、優しい先輩の声色に、話を切り出すのが躊躇われる。



