13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「ごめん、今日用事があって…。帰っていいかな?」

教室の掃除当番。
申し訳ないと思いながら、同じ班の子に申し出た。

「いいよ」と、笑顔で受けてくれたクラスメートに、「ありがとう」と、お礼を言って、急ぎ足で教室を出る…。

その間際、振り返って教室内に居る翔を見た。

翔は友達と話をしていて、すぐには動きそうにない。


安心した私が、向かう先は体育館。
昼休憩の後、藤原先輩がメールで、指定してきた場所。

少しすれば人が集まる。
同じバレー部の人達も…翔も。

私が今から話そうとしていること。それは、絶対に誰にも聞かれたくはない。

だから、とにかく急ごうと思った。
先輩が早く来なければ無意味だけど、何となく早く来る気がしてた。


「っ−…」

ほんの少し切れた、私の息。

「早かったね」

予感通り、体育館の前には既に、藤原先輩が居た。

「私も…話があって」

言いながら、ゆっくりと先輩の目の前まで歩いて行く。

距離を縮めるほど、ドクン、ドクンと、うるさくなる胸の鼓動。

「話って?」
「あの…」

覚悟を決めて来たはずなのに、優しい先輩の声色に、話を切り出すのが躊躇われる。