13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


行きたくない…行きたくない…。

呪文のように、ぐるぐると頭の中で繰り返しながら、重い足をゆっくり進める。

こんなに憂鬱な朝は初めて。
そう思うほどに気が重いのは、学校に行けば、会いたくない人が二人居るから。

二人と重ならない時間を狙って、わざと家を遅く出たにも関わらず、私はビクビクしながら周りを見渡しては、居ないことを確かめていて、

「……はぁ…」

頭を抱え、ため息をついた。

吐きたくなるくらい、気分が悪い理由は、精神的に追い込まれているのと、睡眠不足。

眠れなくても、考えて考えて…こうしようって答えが、見付かったのなら、まだ良い。

だけど、私は悩んだまま…。

一晩だけじゃ足らず、もう少し時間を必要としていた。

だから、今日は朝練がなくて良かったと、心から思う。

自分の今の状況を考えると、会いたくない人のひとり…藤原先輩とは、特に顔を合わせづらかった。

それに昨晩から、藤原先輩からの連絡は一切なくて、それが何だか妙に怖かった。