13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



「わっ!」

考えごとをしながら歩いていると、体育館へ入ってすぐの所で、人とぶつかった。

「…先輩っ!?」

見上げると、それは藤原先輩で、驚きと同時に、ヒヤッと嫌な汗をかく。

ヤバイ…檜山と喋ってるとこ、見られてたかな…。
サボりだと思われたかもしれない。

「遅くなって、すみません!」

咎められる前に…と、頭を下げて謝ると、

「あぁ…うん」

藤原先輩は、ぼーっとした覇気のない顔で、返事をした。

あれ……?

想像していたものと違う反応に、初めて見る先輩の表情。

「何か…ありましたか?」

遠慮がちに聞いてみると、

「…いや、何でもない。練習戻ろう」

藤原先輩は思い出したように、いつもの爽やかな笑顔を向けた。



それは、小さすぎるサインで、

先輩も疲れてんのかな…くらいにしか思わず、

俺は全く気付かなかった。


藤原先輩の気持ちも。

檜山の気持ちも。


自分が今、最低なことをしてしまっていることさえも−…。