「………」
クラスが一斉に静まり返る。
その時、初めて俺は“告白した”ということを実感した。
叫んでしまった事から、多少の恥ずかしさは生まれた。
だけど、決して後悔はしていない。
「…えっ?」
少し間が開いて、先輩がそう声を漏らした時、タイミング良く予鈴が鳴った。
「やっべ!俺帰らなきゃ、また先生怒られるっ!」
ここで返事を聞くわけにも行かず、先輩達が今だ固まったままな事から、今日は退散する事にした。
床に下ろした真新しい鞄を持つと、廊下へ出る。
「じゃあ、先輩また明日ー!」
大きく手を振って、俺は走り出した。
「翔じゃん!」
校庭に出ると、同じ中学の女子に話しかけられた。
「よっ!制服似合うじゃん!」
「ありがと。何?良い事あった?」
良い事…。
小さな先輩の顔が浮かんだ。
「まぁね!」
俺は初めてする恋にドキドキしてた。
多少の不安はある。
だけど、何かワクワクする…
そんな気持ちの方が、
まだ大きかったんだ-…。



