13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「………」

クラスが一斉に静まり返る。

その時、初めて俺は“告白した”ということを実感した。

叫んでしまった事から、多少の恥ずかしさは生まれた。

だけど、決して後悔はしていない。

「…えっ?」

少し間が開いて、先輩がそう声を漏らした時、タイミング良く予鈴が鳴った。

「やっべ!俺帰らなきゃ、また先生怒られるっ!」

ここで返事を聞くわけにも行かず、先輩達が今だ固まったままな事から、今日は退散する事にした。
床に下ろした真新しい鞄を持つと、廊下へ出る。

「じゃあ、先輩また明日ー!」

大きく手を振って、俺は走り出した。




「翔じゃん!」

校庭に出ると、同じ中学の女子に話しかけられた。

「よっ!制服似合うじゃん!」
「ありがと。何?良い事あった?」

良い事…。

小さな先輩の顔が浮かんだ。

「まぁね!」


俺は初めてする恋にドキドキしてた。

多少の不安はある。

だけど、何かワクワクする…

そんな気持ちの方が、


まだ大きかったんだ-…。