13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


何か言わなくちゃ…何か…。

慌てて“何か”を考えるけど、私の口から出たのは、

「…面白いって何よ!」

聞きたいことではなく、どうでも良いことだった。

それに対して、翔は“べー”と、舌を出して見せた後、

「檜山、ありがと」

一方的に笑顔を覗かせ、体育館の中へ戻って行った。


「何なのよ…」

本当、意味が分からない。

“ありがとう”と、お礼を言われることなんてしてないし…


……本当に付き合うの?


急に不安に駆られるのは、実感が何ひとつとして湧いて来ないことと…何度も、こんな経験があったから。

毎回、これからの展開に胸を踊らして…でも数分後、すぐに突き落とされる。

それは…夢だから。

夢−…そう、きっとこれも夢に決まってる。

そう思った私は、頬を指で掴んでつねってみた。


……痛い。

確かに感じる小さな痛み。
「まさか」と、力を込めれば、痛みは比例して大きくなる。

「うそ…」

どうしても信じられなくて、私は声を漏らした。


「檜山」
「えっ?あっ!?」

名前を呼ばれて、声の方を見ると、体育館に戻ったはずの翔が、扉からまた顔を出していた。