13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


引き止めようと、慌てて立ち上がろうとした私を、「いいよ」と言った翔の声が止めた。

“いいよ”…?

「何が…?」

まだ謝ってもいないのに、意味がさっぱり分からなくて、首を傾げる。

すると、翔は予想なんても出来ないくらい、とんでもないことを口にした。


「檜山と付き合う…って、アレ。いいよ」


「え……?」

何…言ってんの?

今まで考えていたことが、パッと一瞬にして消されたみたいに、頭の中が真っ白になる。

残っているのは、今の翔の言葉だけ…。

なのに、意味が理解出来ない。

「な…んで…?」
「んー…檜山と付き合うとか、想像つかなすぎて、何か面白そうじゃん?」

別に、翔に対して言った言葉ではなかった。自分の心の思いが、声になっただけ。

だけど、翔がそれに答えてくれたおかげで、

私と付き合うってこと−…?

やっと言葉の意味を理解した。


「んじゃ、俺そろそろ練習戻るから」

放心状態の私を残して、翔は体育館に戻ろうとする。

「まっ、待って!」

ハッとした私は、翔を呼び止めていた。