引き止めようと、慌てて立ち上がろうとした私を、「いいよ」と言った翔の声が止めた。
“いいよ”…?
「何が…?」
まだ謝ってもいないのに、意味がさっぱり分からなくて、首を傾げる。
すると、翔は予想なんても出来ないくらい、とんでもないことを口にした。
「檜山と付き合う…って、アレ。いいよ」
「え……?」
何…言ってんの?
今まで考えていたことが、パッと一瞬にして消されたみたいに、頭の中が真っ白になる。
残っているのは、今の翔の言葉だけ…。
なのに、意味が理解出来ない。
「な…んで…?」
「んー…檜山と付き合うとか、想像つかなすぎて、何か面白そうじゃん?」
別に、翔に対して言った言葉ではなかった。自分の心の思いが、声になっただけ。
だけど、翔がそれに答えてくれたおかげで、
私と付き合うってこと−…?
やっと言葉の意味を理解した。
「んじゃ、俺そろそろ練習戻るから」
放心状態の私を残して、翔は体育館に戻ろうとする。
「まっ、待って!」
ハッとした私は、翔を呼び止めていた。



