「あ、津田さん帰って来たよ!」
誰かがそう言て、俺は椅子からすぐに立ち上がる。
囲んでいた人は、自然に俺をよけて…
目の前には、先輩が居た。
先輩が目に入った瞬間、緊張しているのだろうか、顔が強張る。
そんな俺に対して、先輩は驚いた顔をしている。
まぁ…驚くのも、無理のない話だ。
歩きながら、とにかく…とにかく、謝らなきゃと思った。
「「ごめんなさいっ!」」
俺と見事に合わさった、先輩の声。
皆が笑うけど、そんなの耳に入らない。
「先輩は悪くないっすよ!俺が無理矢理、引っ張ってたんですから」
「や…でも」
「本当にすみませんでした!」
先輩に恥をかかせた事が申し訳なくて、俺は頭を下げた。
「いいですよっ、頭上げてくださいっ」
その言葉に従い、ゆっくりと顔を上げる。
瞳に写るのは、優しい先輩…。
先輩なのに、決して偉そうにはしない。
「え…と…」
困った顔は、今朝会った時と同じだ。
俺は…きっと…。
「先輩っ!俺、先輩に一目惚れしましたからっ!」
何かが堪えきれずに叫んでた。



