13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「あ、津田さん帰って来たよ!」
誰かがそう言て、俺は椅子からすぐに立ち上がる。

囲んでいた人は、自然に俺をよけて…

目の前には、先輩が居た。


先輩が目に入った瞬間、緊張しているのだろうか、顔が強張る。
そんな俺に対して、先輩は驚いた顔をしている。

まぁ…驚くのも、無理のない話だ。

歩きながら、とにかく…とにかく、謝らなきゃと思った。

「「ごめんなさいっ!」」

俺と見事に合わさった、先輩の声。

皆が笑うけど、そんなの耳に入らない。

「先輩は悪くないっすよ!俺が無理矢理、引っ張ってたんですから」
「や…でも」
「本当にすみませんでした!」

先輩に恥をかかせた事が申し訳なくて、俺は頭を下げた。

「いいですよっ、頭上げてくださいっ」

その言葉に従い、ゆっくりと顔を上げる。

瞳に写るのは、優しい先輩…。
先輩なのに、決して偉そうにはしない。

「え…と…」

困った顔は、今朝会った時と同じだ。

俺は…きっと…。


「先輩っ!俺、先輩に一目惚れしましたからっ!」

何かが堪えきれずに叫んでた。