「朝、私見て睨んだじゃん」
こっちを向く檜山。
眉間にシワを寄せて、怒った表情…なのに、その目には涙が浮かんでいるようにも見えた。
な…何だよ…。
「そうだっけ?」
檜山が俺に睨まれたくらいで、泣くわけない。見間違いに決まってる。
だけど、何だか妙に戸惑って、顔を逸らした。
すると、
「しらばっくれないでよ!」
檜山の声と同時に、片耳に突然痛みが走る。
「いてっ!いてて!いてーって!!」
やっぱりこいつが泣くわけない!
思いっ切り耳を引っ張られて、そう確信した。
「ちぎれる!離せって!」
「じゃあ、何で何もしてない私を睨んだのか、ちゃんと説明してよ」
「分かった!分かったから!」
俺が降参すると、手はパッと離されて、解放される。
全く…信じらんねぇ。
「…カッコ悪すぎだろ」
じんじんと痛む耳を、摩りながら答えた。
「……何が?」
檜山は何のことだか、さっぱり分かっていない様子で、俺は深くため息をついた。
だから、こんなこと言いたくないのに…。



