13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


さっきは寒いとしか思わなかった空気が、今は火照った顔を冷やしてくれるようで、心地好い。

「てかさ…檜山こそ部活行けよ」

体育館の扉に続く3段の階段。
それを先に降りる檜山に言うと、

「私、今日歯医者なの」

いつもの仏頂面で振り返る。

「じゃあ何で来たんだよ」
「先輩に言うの忘れてて…言いに来たの」

言いながら檜山は、一番下の階段の隅に座った。
つられるように俺も隣に座る。


「「……」」

流れる沈黙。
フラれたのを知られてる俺の立場からしたら、すごく気まずい。

そもそも何で一緒に居んだ…?

部活に戻れない俺を助けてくれたのかもしれないけど、俺に何も用のない檜山が、無理して一緒に居ることはない。

「何か…言いたいことでもあんの?」

早く帰るように促せばいいのに、何故かそれをしなかった。

檜山は何か考えるように、暗くなり始めた空を見上げた後、

「ね…何でそんなに私のこと、目の敵にすんの?」

予想外のことを口にした。

「は…?」

苺先輩とのことを絶対聞いて来るだろうと思っていた俺は、ポカンと口を開ける。