13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「泣くか笑うか、どっちかにしたら?」

すぐ近くで聞こえた女子の声。

瞬時に顔を上げるけど、目の前には誰も居ない。

「ここよ」
「うわっ!」

思わず声を出して驚いた。

俺の隣…体育館の扉から顔だけを出す形で、いつの間にか檜山が立っていたから。

「いつから居たんだよっ!?」
「ちょっと前」

全く気付かなかった…。

「盗み見とか、趣味わりぃ」

情けない姿を見られたことが恥ずかしくて、檜山から顔を背ける。

「こんなに堂々としてんのに、どこが盗み見なのよ」

そう言われてみれば…確かに。

俺は黙ったまま、早く何処かに行ってくれるのを必死に願った。

でも、

「ちょっと出て来て」
「は?何で」
「いいから早く」
「ちょっ…」

檜山が俺のジャージの裾を掴んで、外へ引きずり出そうとするから、咄嗟に振り向いてしまった。

「そんなんじゃ部活戻れないでしょ」
「っ…」

優しくしてくれてるのか、馬鹿にされてるのか、分からない。

とりあえず、余計なお節介。

そう思いながらも、檜山に従って、もう一度体育館から出る俺が居た。