13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「ありがとっ!彼氏持ちが惚れんなよ!」

目の前に手を伸ばし、ピースサインを作って、カッコつけると、苺先輩は笑った。

そして、

「翔くん…ありがとう」

とても穏やかな声で、言われたお礼。
俺は笑顔を返して、体育館の扉を開けた。



体育館に入ったものの、バレー部の集まりには戻らず、扉の横の壁に背中を当てる。

みんな練習に一生懸命で、こっちに気付く気配がないのが救いだ。

“ありがとう”って、俺もちゃんと返したかったのに、それが叶わなかったのは…

涙に詰まりそうになったから。


男なのに情けない…。

だけど、それほど苺先輩が好きだった。

好きで…好きで…好きで…。

自分の気持ちよりも、キミの気持ちを大切にしたい…そう思うほど、好きだった。

初めてした本当の恋。

それが今、静かに…確実に終わりを告げた。


あぁ…ヤバイ。
こんなんじゃ、練習戻れねぇじゃん…。

涙こそ流れてはいないけど、きっと赤い顔をしている。

自分の姿を客観的に想像して、「バカだな」と苦笑した。


こんな姿、誰にも見られたくないし、誰にも見られていない…

そう思っていたのに、