「ありがとっ!彼氏持ちが惚れんなよ!」
目の前に手を伸ばし、ピースサインを作って、カッコつけると、苺先輩は笑った。
そして、
「翔くん…ありがとう」
とても穏やかな声で、言われたお礼。
俺は笑顔を返して、体育館の扉を開けた。
体育館に入ったものの、バレー部の集まりには戻らず、扉の横の壁に背中を当てる。
みんな練習に一生懸命で、こっちに気付く気配がないのが救いだ。
“ありがとう”って、俺もちゃんと返したかったのに、それが叶わなかったのは…
涙に詰まりそうになったから。
男なのに情けない…。
だけど、それほど苺先輩が好きだった。
好きで…好きで…好きで…。
自分の気持ちよりも、キミの気持ちを大切にしたい…そう思うほど、好きだった。
初めてした本当の恋。
それが今、静かに…確実に終わりを告げた。
あぁ…ヤバイ。
こんなんじゃ、練習戻れねぇじゃん…。
涙こそ流れてはいないけど、きっと赤い顔をしている。
自分の姿を客観的に想像して、「バカだな」と苦笑した。
こんな姿、誰にも見られたくないし、誰にも見られていない…
そう思っていたのに、



