「あれ…1年生?」
ギャル系の先輩が、こっちに気付く。
「何かあの子かわいくない?」
“かわいい”その言葉に、俺は反射的に顔を反らしたが、この手の女が見逃してくれるはずもなく、近寄って来た。
「誰かに用ですか~?」
「えっ?アタシ?アタシ?」
「バッカ!エリなわけないじゃん!」
「えっと…」
勝手に盛り上がる先輩をよそに、今朝の先輩の名前を思い出そうとするが、出て来ない。
しょうがない…。
「背が低い先輩って居ませんか?」
聞くと、先輩達は顔を合わせた。
「…津田さん?」
出された名前にピンと来る。
「そうですっ!!」
思わず声を張り上げてしまった。
「うーん…今、津田さん居ないかなぁ…」
先輩は教室を見渡しながら言う。
「そうですか…」
「あ、でも、もうすぐ帰って来ると思うから待ってなよ!」
「えっ…!」
ぐいっと腕を捕まれ、教室の中に連れ込まれた。
「ここ座って」
さっき先輩達が座っていた場所に、強制的に座らされる。
「えっ、何っ?新入生っ!?」
女の先輩を筆頭に、ぞろぞろと人が集まる。
「何組?」
「背何センチ?」
「津田さんの彼氏?」
次から次へと聞こえる質問。
めんどくさい…。
正直、そう思った時だった。



