13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「あれ…1年生?」

ギャル系の先輩が、こっちに気付く。

「何かあの子かわいくない?」

“かわいい”その言葉に、俺は反射的に顔を反らしたが、この手の女が見逃してくれるはずもなく、近寄って来た。

「誰かに用ですか~?」
「えっ?アタシ?アタシ?」
「バッカ!エリなわけないじゃん!」
「えっと…」

勝手に盛り上がる先輩をよそに、今朝の先輩の名前を思い出そうとするが、出て来ない。

しょうがない…。

「背が低い先輩って居ませんか?」

聞くと、先輩達は顔を合わせた。

「…津田さん?」

出された名前にピンと来る。

「そうですっ!!」

思わず声を張り上げてしまった。

「うーん…今、津田さん居ないかなぁ…」

先輩は教室を見渡しながら言う。
「そうですか…」
「あ、でも、もうすぐ帰って来ると思うから待ってなよ!」
「えっ…!」

ぐいっと腕を捕まれ、教室の中に連れ込まれた。


「ここ座って」

さっき先輩達が座っていた場所に、強制的に座らされる。

「えっ、何っ?新入生っ!?」

女の先輩を筆頭に、ぞろぞろと人が集まる。

「何組?」
「背何センチ?」
「津田さんの彼氏?」

次から次へと聞こえる質問。

めんどくさい…。

正直、そう思った時だった。