13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「うん。おめでとう」

やっと“おめでとう”と、言うことが出来た。

本当に嬉しく思うのに、肝心の苺先輩は浮かない表情。
俺に遠慮していることは、聞かなくても分かる。

「何て顔してんの、やっと想いが通じて良かったじゃん」
「うん…」
「何?やっぱり俺の方が好きって?」

冗談を言うと、苺先輩はきょとんとした後、やっと笑顔を見せてくれた。

「俺さ…苺先輩が今でも好きだけど、本当に祝福出来るよ。苺先輩がどんなに、西藤先輩思ってたか知ってるから」

その言葉に嘘は一つもない。

西藤先輩のことで、苺先輩が悲しそうにしている姿を…泣いている姿を沢山見て来た。

それを見る度、俺も心が潰されそうだった。

だから今、苺先輩が西藤先輩と結ばれて、微笑んで頷く姿が堪らなく嬉しいと思う。

「幸せそうにしやがってーっ。もし別れたら、ぜってー彼女にするから!」
「わっ、別れないよっ!」

俺と苺先輩は顔を見合わせて、

「「……あははっ!」」

ふたりして笑い合った。


特に意味のないこの行動が、不思議なくらい幸せだと思った。