13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


やっぱり、キミは期待を裏切らない。

やっぱり、そんなキミが好きだ。


部活中、体育館の扉の横に苺先輩の姿を見付けて、そう思った。

遠慮がちに手を振る苺先輩に、俺は笑い掛け、先輩の打つボールを拾う手を止める。そして、

「すみません、ちょっと抜けていいですか?」

部長である藤原先輩に許可を得て、部活を抜け出した。


「なんかごめんね…大丈夫?」
「大丈夫。あっ、移動する?」

体育館の外は内と一変した空気で、風がかなり冷たい。

「ううん…すぐ終わるからここで」

俺が「うん」と頷くと、苺先輩の顔からは笑顔が消え、

「あの…」

何かを言おうとして、言葉を詰まらせる。

何を言おうとしているのか、分かってはいるけど…あえて言葉は掛けず、ただ静かに見守っていた。

すると、苺先輩は様子を伺うように、俺の顔をそっと見る。

躊躇った表情の苺先輩。

大丈夫だよ…。

微笑んで見せると、気持ちが伝わったのか、ゆっくりと口を開いてくれた。

「あたしね…知ってると思うけど、西藤くんと付き合ってる」

やっと聞けた…。
その言葉が聞きたかった。