13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


授業が終わって、すぐに体育館へ向かった。

いつもなら、体育館に入る前に、更衣室で体操服に着替える。

だけど、今日は更衣室には寄らず、制服姿のまま体育館横のドアを開けた。

広く冷たい空間。

一歩踏み込めば、靴下越しに伝わる、凍っているかのようなフロアの温度。

さすがにまだ、誰も来ていない。

自分が立てる物音しか聞こえなくて、騒がしかった教室や廊下とは、まるで別世界。

ゆっくりと歩いて…体育館の真ん中で足を止めた。

見上げる高い天井。

「ふぅ…」

やっと落ち着ける場所を見付けて、俺は詰まりそうだった息を吐き出した。

今日は、精神的にすごく疲れた一日だった。

朝、学校に着くなり聞かされた、津田先輩たちの新たな関係。

それからはもう、ありとあらゆる人から質問攻め…。

でも、自分がしたことだから仕方ない。きちんと説明して、誤解を解くのが…俺の責任。

そのことに一生懸命で、深く考える余裕がなかったけど、


そっか…苺先輩、やっと西藤先輩と恋人になれたんだ…。


静かな空間が、実感をじんわりと連れて来る。