13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


しまった…と後悔しながらも、謝る勇気もなくて、私はすぐに背を向けた。

「あっ、ありがとうございます!」

背後から聞こえた、津田先輩の声。

感じが悪く、可愛くない私とは、正反対な津田先輩の行動に、胸が苦しくなる。

だから、苦手なんだ。
私にないもの、欲しいもの…全部持ってるから。



「佳奈ちゃん、何話してたの?」

津田先輩が帰ると、さっきのクラスメートにさやかちゃん、それから他のクラスメート達が、私を囲む。

「何って…ただ、翔の居場所教えただけだよ?」

煩わしい…。
今朝の翔になった気分。

「ごめん、私これから歯医者なんだ」

本当はまだ時間がある。だけど、みんなの相手をするのは、まっぴら御免。

人だかりから抜け出そうと、さやかちゃんの隣を通り過ぎようとした時、

「教えちゃったんだ…」

小さく呟いた声を、私は聞き逃さなかった。

以前の私なら、さやかちゃんと同じ気持ちを抱いて、教えなかったと思う。

「ごめんね」

私はすれ違い様に、それこそ小さな声で謝った。