おかしいと思って、私が視線を戻すと…二人はこっちとは真逆を向いていた。
二人が、みんなが見ているのは…教室の出入口。
何?誰か来たの?
視線を追った私は、彼女の姿を見付けて、みんなと同じく固まった。
そこに居たのは…津田先輩。
津田先輩は、遠慮げに教室を覗いて、誰かを探している。
誰を探しているか…みんな分かっているはずなのに、誰も居場所を教えようと、動こうとしない。
そんな教室内の様子に気付く様子もなく、居ないことを確認した津田先輩は、困ったような表情を浮かべた後、ドアに掛けた手を離した。
どうしてなのか分からない。
一番関わりたくない人な、はずなのに。
「あのっ」
私は、諦めて帰ろうとする津田先輩を、呼び止めていた。
言葉を交わすのは、あの雨の日以来。
「翔ですか?」
「あっ、はい」
振り返った津田先輩は、私のことを覚えてはいなさそう。
「だったら体育館ですよ」
「え?」
きょとんとした顔で、私を見上げる。
「だから、体育館に居ますから」
私にはない可愛らしさに嫉妬して、つい言葉が荒くなる。



