13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


おかしいと思って、私が視線を戻すと…二人はこっちとは真逆を向いていた。

二人が、みんなが見ているのは…教室の出入口。

何?誰か来たの?

視線を追った私は、彼女の姿を見付けて、みんなと同じく固まった。

そこに居たのは…津田先輩。

津田先輩は、遠慮げに教室を覗いて、誰かを探している。

誰を探しているか…みんな分かっているはずなのに、誰も居場所を教えようと、動こうとしない。

そんな教室内の様子に気付く様子もなく、居ないことを確認した津田先輩は、困ったような表情を浮かべた後、ドアに掛けた手を離した。


どうしてなのか分からない。

一番関わりたくない人な、はずなのに。


「あのっ」

私は、諦めて帰ろうとする津田先輩を、呼び止めていた。

言葉を交わすのは、あの雨の日以来。

「翔ですか?」
「あっ、はい」

振り返った津田先輩は、私のことを覚えてはいなさそう。

「だったら体育館ですよ」
「え?」

きょとんとした顔で、私を見上げる。

「だから、体育館に居ますから」

私にはない可愛らしさに嫉妬して、つい言葉が荒くなる。