13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


だから、今日歯医者…!

頭の中で思いながらも、口にしなかったのは、予約している時間まで、まだ余裕があったから。

まぁいいか…と、時間潰しに少しだけ、雑談に付き合おうと思った。


連れて来られたのは、教室の隅。
そこには見知らぬ女子が、ひとり気まずそうに立っていた。

「岡田くん、もう部活行ったって!」

私の手を引いていた子が言うと、

「そう…」

何だか少し、がっかりした様子の女の子。

あ……。
この雰囲気…知ってる。

不意に感じた、嫌な予感。

「私、歯医…」

咄嗟に逃げようとしたけど、

「この子、1組のさやか。さやかね、岡田くんに告りたいんだって」

先を越されてしまった。

さやかちゃん…目の前の女の子は、恥ずかしそうに俯く。

やっぱり…。

中学の時、幾度となく経験した、このシチュエーション。

すっかり忘れていたけど…翔は意外とモテる。

高校に入ってから穏やかだったのは、みんな津田先輩と付き合っていると思っていたから。

しかも、翔の方が先輩に夢中…って感じだったから、告白しても無駄なことは分かりきっていた。