今日最後の授業が終わるなり、翔は誰よりも早く、教室を飛び出した。
さすがに参っちゃったかな…。
私は彼の背中を見送った後、鞄に教科書を詰め始める。
しばらくすると、教室の前には、翔を捜しているだろう人の姿が、ちらほら。
もう、そっとしておいてあげてよ…。
私には全く関係ないけど、翔のことを思うと、ため息が出た。
「あれー?居ない」
すぐ近くで聞こえた声。
反射的に声の方を向くと、私の隣でキョロキョロと、誰かを探すクラスメートの女子。
「誰探してんの?」
「んー、岡田くん」
ちょうど翔のことを考えていたから、思わずドキッとする。
「翔なら…もう部活行ったと思うよ」
「そっか、ありがと。あ、佳奈ちゃんは?部活行かないの?」
やけにゆっくりしている私を見て、首を傾げる。
「うん、今日歯医者で…」
冬休み中に終わらせようと思った、虫歯の治療。でも思うように予約が取れなくて、今日まで食い込んでしまった。
「そうなんだ…。じゃあさ、佳奈ちゃんも、ちょっと話聞いてよ!」
「えっ?」
クラスメートは強引に手を引いて、私を連れ去る。



