13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



今日最後の授業が終わるなり、翔は誰よりも早く、教室を飛び出した。

さすがに参っちゃったかな…。

私は彼の背中を見送った後、鞄に教科書を詰め始める。

しばらくすると、教室の前には、翔を捜しているだろう人の姿が、ちらほら。

もう、そっとしておいてあげてよ…。

私には全く関係ないけど、翔のことを思うと、ため息が出た。


「あれー?居ない」

すぐ近くで聞こえた声。
反射的に声の方を向くと、私の隣でキョロキョロと、誰かを探すクラスメートの女子。

「誰探してんの?」
「んー、岡田くん」

ちょうど翔のことを考えていたから、思わずドキッとする。

「翔なら…もう部活行ったと思うよ」
「そっか、ありがと。あ、佳奈ちゃんは?部活行かないの?」

やけにゆっくりしている私を見て、首を傾げる。

「うん、今日歯医者で…」

冬休み中に終わらせようと思った、虫歯の治療。でも思うように予約が取れなくて、今日まで食い込んでしまった。

「そうなんだ…。じゃあさ、佳奈ちゃんも、ちょっと話聞いてよ!」
「えっ?」

クラスメートは強引に手を引いて、私を連れ去る。