13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


3月-…。

今日は別れの日。

3年間慣れ親しんだ校舎、先生、友達、後輩…
沢山のものから“さよなら”する日だ。

式を終えた卒業生達は、青空の広がる校庭で写真を撮り合い、思い出を形に残している。

私、檜山 佳奈(ひやま かな)も、その中の一人だった。


「佳奈ちゃん写真撮ろー?」
「うん!」

私の返事を聞くと、友達は近くに居た女子に自分のカメラを渡す。
「これもお願い」

私も便乗して、手に持ったデジカメを手渡した。

笑顔でピースして…
他の女の子達と何ら変わらない。

だけど…私は決定的に他とは違った。

「はい、撮れたよ」
「ありがとう!」

デジカメが返って来ると、直ぐさま写真を確認する。

撮れてなかったりしたら嫌だから…。

ピッ…

デジカメの小さな画面には、今撮った写真がはっきりと表示された。

「…」

充分すぎる程分かっている事なのに、やっぱり絶句してしまう。

…でかい……。

何がでかいかって?

顔でもなければ、残念ながら胸でもない。

画面に写った二人は明らかにアンバランス。
私の顔は画面の上、友達は画面の下とかなり離れている。

決して友達が小さい訳ではない。

そう、私は身長の高い女の子。