「みんなも!先輩の悪口言うなよー?」
翔は思い出したように、辺りを見渡しながら、クラス全体に言った。
その時、
「−……」
不意に…目が合った。
そして私を見た翔は、少し目を見開いた後…眉を潜ませた。
な、何−…?
思った瞬間、目は逸らされて、それはほんの2、3秒の出来事。
私が先輩の悪口を言うなんて、翔が思うわけないし、特に深い意味はなかったのかもしれない。
だけど、
何で…そんな顔すんのよ…。
翔が私に見せた顔は、“不快”そのものだった。
意味もなくあんな顔されたら、普通なら怒ってる。
「何よ!」って、いつもみたいに喧嘩腰で。
なのに、とても怒る気にはならない。
それどころか、「私、何かしたっけ…?」と、必死に自分の否を探してる。
ドクンドクンと、疼く鼓動。
何で……苦しい。
想いは報われなくて、嫌われてもいいと思ってた。
むしろ、その方が楽だ…って。
だけど、津田先輩と付き合っていないのを知った今、
翔に嫌われるのを、恐れてる−…。



