クラスメートの人だかりを割って、翔の前に一人の女子が出た。
その子は、さっき先輩たちのことを、教えてくれた友達。
「津田先輩…だったっけ…。あの人って、そんなに素敵な人なの?」
クラスメートの質問に、翔は動きをピタッと止める。
「…何で?」
「いや、岡田くんもだし…王子先輩も好きにさせちゃうなんて、それほど素敵な人なのかなーって」
「この話は終わり」と、今言ったばかりなのに、翔はゆっくり顔を上げ、
「実際に話してみたら分かるよ。とにかく、すげー優しい人だから」
愛しい人を想う時の、とても優しい顔付きで答えた。
「そう…なんだ」
翔の表情に驚いた様子で、友達は言葉に詰まる。
驚いた気持ち…それは私も一緒だった。
自分をフッた人をまだ、そんな風に想ってるなんて−…。
「うん。だから、先輩のこと悪く言うのは許さないよ?」
「い、言わないよ!悪くだなんて…そんな。言わない!」
さっきまで、少し悪口を言っていた友達。見透かされたみたいで、それこそ焦って首を振った。



