13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「何…それ…」

誰に言ったわけでもなく、思わず漏れた心の声。

付き合ってなかったって…。

フラれてたって…。

確かに思い出してみれば、翔の口からは一度たりとも“付き合ってる”なんて聞いていない。

つまりは、私の勘違い…はやとちり…。

でも、

じゃあ、何で抱き合ってたの…?

今でも鮮明に思い出せる、夏祭りの夜の光景。

付き合っていなかったのなら、何か理由があったんだろうか。

それとも、あの時フラれたんだろうか…。

ふと、いつだか翔に“喋り易い”と、言われたことを思い出した。

その言葉通り、津田先輩に恋したことも、告白することも、私に話してくれた翔。

もし、私が距離を置こうとせず、友達でも良いから…翔の近くに居れば、夏祭りの理由も、フラれたという事実も、分かっていたのかもしれない。

「……」

今さらどうしようもないことなのに、やるせない気持ちになる私はずるい。


「ねぇ岡田くん、ちょっと聞きたいんだけど…」

クラスメートの人だかりを割って、翔の前に一人の女子が出た。

その子の顔を見て、ハッとしたのは、さっき先輩たちのことを教えてくれた子だったから。