「何…それ…」
誰に言ったわけでもなく、思わず漏れた心の声。
付き合ってなかったって…。
フラれてたって…。
確かに思い出してみれば、翔の口からは一度たりとも“付き合ってる”なんて聞いていない。
つまりは、私の勘違い…はやとちり…。
でも、
じゃあ、何で抱き合ってたの…?
今でも鮮明に思い出せる、夏祭りの夜の光景。
付き合っていなかったのなら、何か理由があったんだろうか。
それとも、あの時フラれたんだろうか…。
ふと、いつだか翔に“喋り易い”と、言われたことを思い出した。
その言葉通り、津田先輩に恋したことも、告白することも、私に話してくれた翔。
もし、私が距離を置こうとせず、友達でも良いから…翔の近くに居れば、夏祭りの理由も、フラれたという事実も、分かっていたのかもしれない。
「……」
今さらどうしようもないことなのに、やるせない気持ちになる私はずるい。
「ねぇ岡田くん、ちょっと聞きたいんだけど…」
クラスメートの人だかりを割って、翔の前に一人の女子が出た。
その子の顔を見て、ハッとしたのは、さっき先輩たちのことを教えてくれた子だったから。



