でも、私にそれが出来なかったのは、
「………誰?」
“王子先輩”も“藤堂先輩”も、どっちもピンと来なかったから。
友達は「分かんないの!?信じらんない!」と、目を丸くする。
「ほら!2年生に有り得ないくらいカッコイイ人が居るじゃん!藤堂先輩は3年の…有り得ないくらい綺麗な人!」
「あ…あぁ」
説明されて、やっと顔が頭に浮かぶ。
スポーツ大会で見た…あの先輩たちのことだ…。
“王子先輩”だの、“有り得ない”くらいカッコイイ、綺麗だの、端から聞けば可笑しいけど、可笑しくないほど確かに、二人の容姿は整っていた。
つまりは、学校一のカップルの破局…そんなところか。
一人納得する私をよそに、友達は、
「王子先輩好きだったのに…ショック」
と、ため息ながらに呟いた。
ん…?ショック?…何で?
「別れたんでしょ?なら良かったじゃん」
「それが良くないんだよねー。王子先輩、もう新しい彼女居るんだもん…」
がっくりと肩を落とす友達。
まぁ、あれほどカッコイイ先輩なら、女の子なんてより取り見取りなんだろうな…。



