13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


入学式が始まった、空気の冷たい体育館。

1列に並んで、真ん中の通路をゆっくりと、歩きながら考える。

勝手に勘違いして、連れて来てしまった罪悪感からか…

どういうわけか、ずっと頭からあの先輩が離れない…。


「…っと背、低くない?」

ふと聞こえた声。
背の事になると、自然と聞こえてしまう。
これを地獄耳って言うのだろうけど、人の耳って嫌な事は、聞きたくなくても聞こえる様に出来ている気がする。

いつもなら気にせず通り過ぎるはずなのに…

何かに引き寄せられる様に声がした方を見た。

っ-……!!

手前の方に、何やら焦っている二人の女の先輩。
すぐに、さっきの犯人は見つかった。

だけど、その人達より目に入ったのは…

小さなあの先輩-…。


彼女もこっちを見ていて、目が合う。

ドキッ…

思わず足を止めようとしたけど、理性がきちんと働いていて、足を止める事はなかった。

すぐに通り過ぎるけど…

胸はドキドキして騒がしい。


彼女が頭から離れないのは、

決して罪悪感からじゃないと、確信する。


小さな彼女に…恋をした-…。