13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「じゃあ…良いお年を!」

バレー部の集団に大きく手を振って、背中を向けた。

夜には帰るって言ったのに、結局夕飯までみんなと一緒に食べてしまった。

母さん…大丈夫かな。

メールでは「大丈夫よ」と、返って来たものの、クリスマスイヴに一人とか、ちょっと可哀相だったかもしれない。

早く帰ろう…と、足を速めようとしたのに、


目の前を白いものが霞めて、足を止めた。


「−……」


白いものの正体。それは、天気予報で予想されていた……雪。

ふわふわと無数の白い雪が、綿毛のように軽く舞う。

その光景に思わず息を飲んだのは、ある光景と重なって見えたから。


今年の四月初旬…入学式の日。

学校前の桜並木道で見た、満開の桜…。

季節も、場所も、時間も…あの日と一緒のものなんか、何ひとつないのに、まるで走馬灯のように、一瞬にして思い出す。

そして、無意識のうちに走り出していた。

真っすぐ前を向いて…居るはずのない彼女を捜す。