先輩が私を呼び出した理由。
どうして?と、思いながらも、心当たりがひとつだけあった。
私が翔と話してたから、嫉妬してくれたのかな…なんて。
最も、彼女が片思いをしてた相手と話してて、良い気持ちなわけはないし。先輩の気持ちを考えると、胸がちくんと痛んだ。
「佳奈ちゃん、佳奈ちゃん」
私をからかう友達とは別の子が、小さく手招きして呼ぶ。
「何っ?」
良かった!助かった!そう思いながら、その子の元に喜んで行く。
「あのね、あたしが貰ったもの…藤原先輩からみたいなんだ」
声を潜めて言ったその子の手には、水色が綺麗なマグカップ。
ひざ元には先輩からだと決定づける、クリーム色の包装紙。
「佳奈ちゃん先輩とアイコンタクト取ってたでしょ?」
この子にも見られてたんだ…。
もはや、ははは…と、力なく笑うしかない。
「それで…佳奈ちゃんのと、交換してあげようと思って」
「え…?」
友達の善意に満ちた笑顔。
でも、私は戸惑った。
モノトーンな文房具よりも、水色のマグカップの方が、遥かに可愛い。
それに、藤原先輩からの物…。
交換を選ばない理由は、何処にもない。



