13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「このまま連れ去りたいけど…佳奈ちゃん、荷物置きっぱなしでしょ?」

言われて手元を確認すると、

「あ…」

私が持っているのは、今貰ったばかりのプレゼントと…翔からのプレゼント。

財布などが入った鞄は、さっき座っていた所に置いたままだ。

「デートはまたの機会に」
「ちが…っ!」

笑顔で意地悪を言う先輩に、私は否定しようとしたけど、出来なかった。

それは、いきなり肩を引き寄せられたからで…。

「嬉しい」

近くなった距離。藤原先輩は耳元で、一言そう言った。

嬉しい…?
何が…?

分からなくて顔を見るけど、先輩は微笑んだだけだった。

そして、私の肩をポンポンと二回叩いて、部屋へ戻ることを促した。

「…」

先に戻る先輩の姿を追いながら、「嬉しい」の意味を探す。

だけど、見当が付かない…。


部屋に入る手前で、私は手元の荷物に気付いた。

藤原先輩がくれたピンクの包み。今これをそのまま持って入ったら、先輩に貰ったことが一瞬にしてバレる。

からかわれるの…嫌だな。

思った私の目に入った物。それは翔からのプレゼントの黒い袋。