「このまま連れ去りたいけど…佳奈ちゃん、荷物置きっぱなしでしょ?」
言われて手元を確認すると、
「あ…」
私が持っているのは、今貰ったばかりのプレゼントと…翔からのプレゼント。
財布などが入った鞄は、さっき座っていた所に置いたままだ。
「デートはまたの機会に」
「ちが…っ!」
笑顔で意地悪を言う先輩に、私は否定しようとしたけど、出来なかった。
それは、いきなり肩を引き寄せられたからで…。
「嬉しい」
近くなった距離。藤原先輩は耳元で、一言そう言った。
嬉しい…?
何が…?
分からなくて顔を見るけど、先輩は微笑んだだけだった。
そして、私の肩をポンポンと二回叩いて、部屋へ戻ることを促した。
「…」
先に戻る先輩の姿を追いながら、「嬉しい」の意味を探す。
だけど、見当が付かない…。
部屋に入る手前で、私は手元の荷物に気付いた。
藤原先輩がくれたピンクの包み。今これをそのまま持って入ったら、先輩に貰ったことが一瞬にしてバレる。
からかわれるの…嫌だな。
思った私の目に入った物。それは翔からのプレゼントの黒い袋。



