バレンタイン…って、まだまだ先の話。
「いえ、それより早く、何かプレゼントします」
それが当然だと思った。だけど、先輩は首を横に振る。
「バレンタインに、佳奈ちゃんの手作りチョコが欲しいな」
わざわざ言われなくても、バレンタインはバレンタインで用意するのに。
先輩の方こそ、遠慮しなくていいのに…。
心の中で思ったけど、口には出せなくて、
「…分かりました」
参りましたとばかりに、私が返事すると、先輩は「やった!」と、本当に嬉しそうに笑った。
さすが先輩と言うべきか…本当に藤原先輩には、上手く扱われてる気がする。
「じゃあ、戻ろっか」
「え、戻るんですか?」
「え…?」
漫画やドラマの展開を想像して、このまま何処かに行くんだと、勝手に考えていた私。
でも先輩のきょとんとした表情に、それは私の勘違いだと気付く。
「…あ!いえ、何でもないです!」
何だか良からぬことを期待してたみたいで、恥ずかしさから一瞬にして顔が火照る。
そんな私を見て、藤原先輩はクスッと小さく笑った。



