13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「……、早速だけど廊下に並んで下さい」

いつの間にか先生の説明は終わり、皆はぞろぞろと教室を出始めた。

翔も立ち上がって、

私も後を追う様に立ち上がる。

「翔っ…!」

廊下に出ようとする隙に、翔に話掛けようと試みる。

だけど、教室を出ようとする皆が邪魔だ。

「…佳奈ちゃん?どうしたの?」
ポンッと肩を叩いて、私の顔を伺う友達。

「あ…何でもない。並ぼっか」

私は軽く笑って返事した。


急に冷静になる。

翔を呼んで、私は何を聞くつもりだったのだろう…。

翔があの子を間違えて連れて来た事は、見ていたら分かった。
学年を知らない様子から、知り合いでもないだろう…。

じゃあ何を…?



普段、ヤキモチなんて感情を抱いた事はない。

翔が女の子と、手を繋いでいるのだって見た事ある。

しかも今回は、手を繋いでいたのではなく、手を引いていた感じだった。

それなのに…

それなのに…今回は何か嫌な胸騒ぎがした。


翔が取られる…

そんな予感-…。