「……、早速だけど廊下に並んで下さい」
いつの間にか先生の説明は終わり、皆はぞろぞろと教室を出始めた。
翔も立ち上がって、
私も後を追う様に立ち上がる。
「翔っ…!」
廊下に出ようとする隙に、翔に話掛けようと試みる。
だけど、教室を出ようとする皆が邪魔だ。
「…佳奈ちゃん?どうしたの?」
ポンッと肩を叩いて、私の顔を伺う友達。
「あ…何でもない。並ぼっか」
私は軽く笑って返事した。
急に冷静になる。
翔を呼んで、私は何を聞くつもりだったのだろう…。
翔があの子を間違えて連れて来た事は、見ていたら分かった。
学年を知らない様子から、知り合いでもないだろう…。
じゃあ何を…?
普段、ヤキモチなんて感情を抱いた事はない。
翔が女の子と、手を繋いでいるのだって見た事ある。
しかも今回は、手を繋いでいたのではなく、手を引いていた感じだった。
それなのに…
それなのに…今回は何か嫌な胸騒ぎがした。
翔が取られる…
そんな予感-…。



