13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


私は歌うわけでもなく、会話に積極的に加わるわけでもなく、ただぼーっとしていた。

「まぁまぁ、しょうがないよ」

先輩はニヤッと笑いながら、友達を宥める。

「そうですねー」

言葉の意味を理解した友達も、ニヤッと何だか嫌な笑みを浮かべる。

あー…もう。

何のことだか、私自身もすぐに理解して、片手で頭を抱えた。

どうせ、藤原先輩…でしょ。

男女混合、バレー部のクリスマス会。それは当然、部長である藤原先輩の参加を意味する。

私が参加を断れなかった理由は、これ。

彼氏である先輩が参加するのに、私は不参加…そんなことは出来なくて。

言ってしまえば、藤原先輩の顔のために参加した。

…なのに、あたしの隣に先輩は居ない。
それどころか、今日はまだ言葉を交わしてすらいない。


「彼氏、取られちゃったもんね」

言いながら、友達はいたずらに笑う。

そう、藤原先輩はずっと他の人と喋っている。

私は黙ってジュースを口に運びながら、ちらりと男子が集まっている方を見た。


藤原先輩の隣に居るのは…翔。