私は歌うわけでもなく、会話に積極的に加わるわけでもなく、ただぼーっとしていた。
「まぁまぁ、しょうがないよ」
先輩はニヤッと笑いながら、友達を宥める。
「そうですねー」
言葉の意味を理解した友達も、ニヤッと何だか嫌な笑みを浮かべる。
あー…もう。
何のことだか、私自身もすぐに理解して、片手で頭を抱えた。
どうせ、藤原先輩…でしょ。
男女混合、バレー部のクリスマス会。それは当然、部長である藤原先輩の参加を意味する。
私が参加を断れなかった理由は、これ。
彼氏である先輩が参加するのに、私は不参加…そんなことは出来なくて。
言ってしまえば、藤原先輩の顔のために参加した。
…なのに、あたしの隣に先輩は居ない。
それどころか、今日はまだ言葉を交わしてすらいない。
「彼氏、取られちゃったもんね」
言いながら、友達はいたずらに笑う。
そう、藤原先輩はずっと他の人と喋っている。
私は黙ってジュースを口に運びながら、ちらりと男子が集まっている方を見た。
藤原先輩の隣に居るのは…翔。



