「行ってくる。夜には帰ってくるから」
ある休日の朝。
ジャケットを羽織りながら、まるで彼女や妻に言うような言葉を吐いた。
もちろん妻なんているわけないし、彼女もいない。
相手は…母さん。
「うん。気をつけて」
洗濯物を片手に、にっこり笑って手を振る母さんに、俺は適当に手を上げて家を出た。
「さみっ…」
家の中と外では、別世界。
そう思うほど、外の空気は冷えていて、肌に痛い。
雪は降っていないけど、夜から降るって天気予報で言っていた。
ホワイトクリスマス…に、なるのかな…。
雲がかかった空を見ながら、ぼんやりと考える。
今日は12月24日、クリスマスイヴ。
今から向かう場所は、地元のカラオケ店。
結局俺は…バレー部のクリスマス会に参加することにした。
あまり乗り気じゃなかったのに、参加を決めたのは、誘ってしまいそうだったから。
冬休み間際になっても、クリスマス間際になっても、進展はなさそうで…。
俺自身、クリスマスに何も予定がないのも寂しくて、
苺先輩を誘ってしまいそうだったから-…。



