言われた通り、確かに藤原先輩のことは好きだ。
でもそれは、当たり前に色恋沙汰の“好き”じゃない。
「尊敬してんだよ、尊敬!」
部長だし、バレー上手いし、優しいし、背も高い。
どこを取っても申し分なくて、正に俺にとっての理想で、憧れずには居られない。
そんな憧れの人だから、この機会に少し雑談とか出来たらいいなと、思っただけだ。
「悪かったって。そんな怒んなよー」
友達は俺の背中をポンポンと、軽く叩くように撫で、「尊敬する気持ちは分かる」と続けた。
「すっげー良い人だもんな」
その言葉から、やっぱり慕われているんだということが伝わって来て、嬉しくなる。
「あ、そういえば…部長の彼女ってさ…」
思い出したように、友達が何かを言いかける…けど、
「ちょっと急がないと、ヤバイんじゃね?」
ふと目に入った時計。
時間に気を取られた俺は、友達の発言を遮ってしまった。
「マジだ!やべっ!」
俺と友達は足を速めて、体育館へと急いだ。
この時、友達の言葉の続きを…
ちゃんと聞いておけば良かったのに…。



