13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


それに対して、私は頭を横に振る。

きっと、先輩に言われた方が困った。翔のことを気にしないふり、出来なかったと思うから。

だから、むしろこれで良かった。

「佳奈ちゃん…」

隣に立っていた先輩が、私に一歩近づく。

「ずるいこと言っていい?」

急に真面目な顔になった先輩。
ドクン…と、緊張する。

「何ですか…?」

やっと口を開くと、先輩は私の手を取って、

「どこにも行かないで」

真っ直ぐ、私を見てそう言った…。

本当に、夏祭り以前に関わったことなんてないし、先輩にはちゃんとした彼女だって居たはず。

いつ、どのタイミングで私を好きになったのか、さっぱり分からない。

でも今、先輩は私のことを本気で想ってくれてる…それが、痛いほど伝わって来た。

「……」

だんだんと縮まる、私と先輩の距離。

ずるい…。
そんな切なそうな顔をされたら、逃げられないじゃん…。

ううん、逃げちゃいけない。
私は先輩の彼女なんだから…。

同意するように目を閉じると、私たちの顔は静かに重なった…。


初めての感触は、冷たかった。

それは…想像していたよりも、切なくて、苦しかった-…。