13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「え…」

言葉の意味が分からなくて、私はストラップから、先輩へと目線を移す。

「佳奈ちゃんって、あんま笑ってくれないから」
「そう…ですか?」
「うん」
「……」

いつもヘラヘラ笑ってるタイプじゃないのは自覚してる。
だけど、「笑わない」とはっきり言われたのは、少しショックかもしれない。

何となく言葉を失う私に、

「いつも切なそうな、悲しそうな顔してるから」

そう藤原先輩は付け足した。


切なそうな、悲しそうな顔…。

指摘されて初めて、そうかもしれない…と、思った。

朝学校に行けば、教室に翔が居て、放課後も翔と同じ空気の中に居て、

忘れられる時間なんて殆どない。

「…ごめんなさい」

さっきのこと、今のこと…全てに対して謝ると、先輩はまた口を開いた。

「岡田くんが居て、びっくりした?」

きっと先輩が尋ねているのは、“バレー部に翔が居て”だということ。

「……」

質問の意味は分かるのに、私の口が開かないのは、喋る度に先輩を傷付ける気がするから。

「黙っててごめんね」

先輩は小さな声で言った。