その声に驚いたのか、怯えたのか、私の体はビクッと反応して、
それを見た先輩は、きょとんとした顔をした後、笑った。
「…」
恥ずかしい…と、思いながらも、先輩が見せた笑顔に、場の雰囲気が少し和んだ気がしてホッとする。
「渡すの忘れるとこだった」
先輩は、どうして今まで喋らなかったのか、疑問に思うくらい普通な態度で、ブレザーのポケットに手を伸ばし、中から何かを取り出した。
「はい、お土産」
差し出されたのは、小さな紙袋。
「あ…ありがとうございます」
私はそれを受け取って、中身をすぐに開けてみた。
出て来たのは…
「ストラップ?」
金色のハイビスカスのモチーフと、その隣に赤いビーズのような玉が一つ付いた、小さなストラップ。
「その赤いの、深海珊瑚なんだ。珊瑚には魔除けとか、厄除けの意味があるんだって」
そうなんだ…。
「じゃあ、お守りになりますね」
言いながら、私は赤珊瑚を人差し指でツンと触れる。
「可愛い…」
続けてもう一度、お礼を言おうとしたのだけど、
「あ、笑ってくれた」
先に先輩に言葉を被せられた。



