帰り道。
私と先輩の間に、会話はない。
苦しいほど、気まずい雰囲気。
玄関での出来事から、ずいぶん時間は経ったはずなのに、私の心臓はまだ、ドクンドクンとうるさい。
もともと私は、ベラベラ話す方じゃないし…ましてや、さっきの今で、自分から話し掛ける勇気なんてない。
先輩から話してくれれば良いのに…なんて思ってしまうけど、会話がないのは、やっぱりショックを受けているからだろうか…。
ていうか、先輩は私のこと、本当に好きなの…?
告白された時、夏祭りより前から気になっていたと言われた。
だけど、夏祭り以前に関わったことがないことは、自分が一番良く知っている。
本当は、私が失恋して可哀相だったから…とかじゃないのかな…。
顔を見れば、少しは気持ちが分かるかもしれない。
だけど、何故だか怖くて、それは出来ずに、前だけを向いてひたすら歩いていた。
もうすぐ家に着く…。
このままじゃ、きちんと「おやすみなさい」すら言えない気がして、焦り始めた時だった。
「あ…」
今まで黙っていた先輩が、突然声を発した。



