13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「誰か待ってんの?」

翔の足は、あたしの横で止まった。

“誰か待ってる”

ドキドキうるさい心の傍ら、思い出した人は…藤原先輩。

私と先輩の関係、

翔には知られたく…ない。

「ちょっとね…友達、友達待ってんの!」

顔を背けたまま、私は言った。

“友達”なんて、嘘つき。

ここで先輩が来たらどうしよう…なんて、焦っている私は最低。

「いいから早く帰れば!?」

ついキツイ言い方になる私に、

「怖ぇー。そんな怒るなら、待たなきゃいいじゃん」

きっと、私がさっき叫んでいたのも、待っている人が遅いからだと思っているんだろう。

翔は呆れた声でそう言って、私から離れて行った。


今も…さっきも、怒っているのは自分に対して。

何で私はこうなんだろう…。

玄関から出て行く翔の後ろ姿を、じっと見つめる。

そういえば、文化祭の時もこんな感じだった。

側に居て欲しいのに…側に居て欲しくなくて、自分から遠ざけてしまう…。

何がしたいのか、さっぱり分からない。

「はぁ…」

今度は、小さなため息をついた時だった。

「誰が友達、だって?」