「誰か待ってんの?」
翔の足は、あたしの横で止まった。
“誰か待ってる”
ドキドキうるさい心の傍ら、思い出した人は…藤原先輩。
私と先輩の関係、
翔には知られたく…ない。
「ちょっとね…友達、友達待ってんの!」
顔を背けたまま、私は言った。
“友達”なんて、嘘つき。
ここで先輩が来たらどうしよう…なんて、焦っている私は最低。
「いいから早く帰れば!?」
ついキツイ言い方になる私に、
「怖ぇー。そんな怒るなら、待たなきゃいいじゃん」
きっと、私がさっき叫んでいたのも、待っている人が遅いからだと思っているんだろう。
翔は呆れた声でそう言って、私から離れて行った。
今も…さっきも、怒っているのは自分に対して。
何で私はこうなんだろう…。
玄関から出て行く翔の後ろ姿を、じっと見つめる。
そういえば、文化祭の時もこんな感じだった。
側に居て欲しいのに…側に居て欲しくなくて、自分から遠ざけてしまう…。
何がしたいのか、さっぱり分からない。
「はぁ…」
今度は、小さなため息をついた時だった。
「誰が友達、だって?」



