3階に上がると、教室はあっという間に見つかった。
ガラガラガラッ!
何の躊躇いもなく、今日から自分の教室になるドアを、勢いよく開けると、
「………」
皆びっくりしてこっちを見ている。
その様子に、もう少し静かに入って来れば良かったと反省の気持ちが生まれた。
「…津田さん?」
教壇に立っていた、母さんくらいの歳の先生が、突然誰かの名前を呼んだ。
先生は真っすぐ俺の隣の女の子を見ている。
津田って言うのか…。
深くは考えず、そう思ったすぐ後に二人は意味不明な会話を始めた。
「1年生を連れて来てくれたのかな…?」
「あっ…いえ…」
女の子が軽く首を振ると、先生は首を傾げた。
「そうよ…ね」
連れて来た…?
言葉の意味が分からない。
「とにかく、津田さん早く自分の教室に戻りなさい」
「はいっ!」
自分の教室…って…。
「お前…5組って言わなかったか?」
聞くと、女の子は申し訳なさそうな顔で、恐る恐る言った。
「あたし…2年です」
「え…?」
それは、思いもしない解答。
「ごめんなさいっ!」
一言謝ると、津田さんと呼ばれた女の子は走って教室を飛び出した。



