「ありがとう。ごめんね、今日お母さんに送って貰って」
それで会わなかったわけか…。
でも、苺先輩が送って貰うなんて珍しい。
「何かあった?」
「あ…荷物重たくて」
確かに苺先輩の荷物は、他の人より大きく、重そうに見える。
それは苺先輩自身が小さいから。
「そっかぁ…。じゃあ気をつけて行って来て」
そんな荷物を持たせたまま、立ち話をするわけにもいかないし、時間もない。
「ありがとう。お土産買って来るね」
ニコッと1度微笑んで、苺先輩は教室の中へと入って行った。
良かった…苺先輩に会えて。
顔を見てホッとした俺も、自分の教室へと歩き出す。
すれ違う先輩達は、ワクワクとした気持ちが伝わって来るほど、みんな楽しそうだ。
いいな…と、心の中で呟く。
羨ましく思わなくても、来年になれば俺も行ける。
だけど、そこに苺先輩は居ない。
出来るなら…一緒に修学旅行に行きたかった。
同じ学年で、同じ授業を受けて、同じ話題で笑って。
同い年だったら…もっと近くにいれたら…少しは何か違ったのかな…。
苺先輩のことは、諦めたつもりだ。
だけど、そんな本心は簡単には拭えない。



