「あ…お土産、何が良い?」
「え?」
「修学旅行の」
言われて思い出した。
そういえば、2年生は来週から修学旅行なんだっけ。
「確か沖縄ですよね」
頭の中に浮かぶのは、海、暖かい気候、シーサー、パイナップルに、さとうきび…。
「これと言って特には…」
“お土産”っていうよりも、“行ってみたい場所”だと思った。
「て、言うより、お土産とか気にしなくていいです」
可愛らしさのかけらもなく、断る私に、
「そういうわけにはいかないよ。じゃあ俺が選ぶかな…センスの保障はないけど」
藤原先輩はおどけて笑ってみせる。
たった1つ上なだけなのに、そんな些細な仕種が大人に見えるのは何故だろう。
そんな事を思っていると、
「…佳奈ちゃん」
名前に“ちゃん”付け。
聞き慣れ始めた呼び方で私を呼んで、先輩はゆっくりと歩く速度を落とす。
付き合い始めたその時から、先輩は『佳奈ちゃん』と呼んだ。
対して、私は今も代わらず『先輩』。
躊躇いなく名前で呼んでしまう所も、大人っぽく思えるし、何となく“差”を感じる。



