そんな顔をされると、全部見透かされている気がして、ちょっと困る。
でも…知ってる。
いつもふざけてばっかだけど、都が一番私の恋を応援してくれていたこと。一番私を心配してくれていること。
「諦めてなかったら、彼氏なんて作らないって!」
だからこそ、笑って見せる。
「大丈夫。先輩好きになりそうだから」
「…ならいい」
都はホッとしたような、静かな笑顔を浮かべた。
「ほーら!好きな物奢ってあげるから、早く行こ!」
「えー!佳奈の彼氏見たい!」
さっきとは真逆に、私が都を急かす。もちろん、バレー部の出店とは違う方向に。
そして…もう一度だけ、翔と津田先輩の姿を見た。
都に私の方が、翔とお似合いだと言われて、正直嬉しかった。
一度も誰にも、言われた事のない言葉だったから。
でも、肩を並べて歩く二人は、やっぱりお似合い。
私と翔とじゃ…不格好。
藤原先輩に抱きしめられた時、漫画やドラマの絵のような、“調度良い高さ”を不意に感じた。
隣に並んだ時、私に“お似合い”なのは翔じゃなく、藤原先輩。
だから、先輩と付き合う。
…なんて、
この時の私は浅はかすぎた-…。



