13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


そんな顔をされると、全部見透かされている気がして、ちょっと困る。

でも…知ってる。

いつもふざけてばっかだけど、都が一番私の恋を応援してくれていたこと。一番私を心配してくれていること。

「諦めてなかったら、彼氏なんて作らないって!」

だからこそ、笑って見せる。

「大丈夫。先輩好きになりそうだから」
「…ならいい」

都はホッとしたような、静かな笑顔を浮かべた。


「ほーら!好きな物奢ってあげるから、早く行こ!」
「えー!佳奈の彼氏見たい!」

さっきとは真逆に、私が都を急かす。もちろん、バレー部の出店とは違う方向に。


そして…もう一度だけ、翔と津田先輩の姿を見た。

都に私の方が、翔とお似合いだと言われて、正直嬉しかった。
一度も誰にも、言われた事のない言葉だったから。

でも、肩を並べて歩く二人は、やっぱりお似合い。
私と翔とじゃ…不格好。


藤原先輩に抱きしめられた時、漫画やドラマの絵のような、“調度良い高さ”を不意に感じた。

隣に並んだ時、私に“お似合い”なのは翔じゃなく、藤原先輩。

だから、先輩と付き合う。


…なんて、
この時の私は浅はかすぎた-…。