「…」
先輩の後ろ姿が見えなくなってから、片手で頭を触ってみる。
痛かったわけじゃないのに、ジンジンと残る、藤原先輩の手の感触。
他人に頭を撫でられたのなんて、初めてかもしれない…。
ふいにされた“女の子扱い”。
高い身長、可愛くない性格の私は、こんなこと慣れてなくて、ドキッとした。
「いや…もう他人じゃないんだっけ…」
彼氏、恋人。
やっと自覚したみたいに、私の胸はドキドキと速く鳴る。
藤原先輩からの、突然の告白。いきなり出来た、彼氏。
嬉しい気持ちはもちろんある。この胸の鼓動がその証拠。
だけど、その奥で…チクチクと刺されるように、痛んでいる気がした。
「居た居た!佳奈、どこ行ってたの!?」
フラフラと歩く私に、声を掛けて来たのは都。
そうだ…約束してたんだった。
「ごめん…」
今さっきまで覚えていたのに、記憶が吹っ飛んだように忘れていた。
「もー…めっちゃ捜したんだからね。おかげでお腹ペコペコ、お詫びとして何か奢って!」
「うん…」
「…何かあった?」
いつもと明らかに様子が違う私に、都が心配そうに尋ねる。



