13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「…」

先輩の後ろ姿が見えなくなってから、片手で頭を触ってみる。

痛かったわけじゃないのに、ジンジンと残る、藤原先輩の手の感触。

他人に頭を撫でられたのなんて、初めてかもしれない…。

ふいにされた“女の子扱い”。

高い身長、可愛くない性格の私は、こんなこと慣れてなくて、ドキッとした。

「いや…もう他人じゃないんだっけ…」

彼氏、恋人。
やっと自覚したみたいに、私の胸はドキドキと速く鳴る。

藤原先輩からの、突然の告白。いきなり出来た、彼氏。

嬉しい気持ちはもちろんある。この胸の鼓動がその証拠。

だけど、その奥で…チクチクと刺されるように、痛んでいる気がした。




「居た居た!佳奈、どこ行ってたの!?」

フラフラと歩く私に、声を掛けて来たのは都。

そうだ…約束してたんだった。

「ごめん…」

今さっきまで覚えていたのに、記憶が吹っ飛んだように忘れていた。

「もー…めっちゃ捜したんだからね。おかげでお腹ペコペコ、お詫びとして何か奢って!」
「うん…」
「…何かあった?」

いつもと明らかに様子が違う私に、都が心配そうに尋ねる。