「えっ!?」
フッと消えるように目の前が暗くなり、同時にふんわりと香ったのは、ソースの匂い。
そして…体を包み込む、温かい温度。
「ダメかと思った…」
耳を掠める慣れない低い声。
私は藤原先輩に抱きしめられていた。
「ちょっ…!」
いくら何でもいきなりそれは!
咄嗟に離れようと思った瞬間、
肩を持ち、剥がすように体を離したのは藤原先輩の方で、
「ありがとう!」
私に向けられた表情は、今までに見た事のないくらいの満面の笑顔。
「いえ…」
そんな顔見せられても、どうしたら良いか分からなくて、目を逸らして返事する。
「じゃあ俺、みんなの所戻るから」
「えっ」
あまりにあっさり戻ると言うから、慌てて視線を戻すと、先輩は私の頭をくしゃくしゃと撫でて微笑んだ。
「これからよろしく、佳奈ちゃん」
それだけ言うと、息が詰まったみたいに何も言えなくなった私を残して、本当にあっさりと先輩は戻って行った。



