13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「えっ!?」

フッと消えるように目の前が暗くなり、同時にふんわりと香ったのは、ソースの匂い。

そして…体を包み込む、温かい温度。

「ダメかと思った…」

耳を掠める慣れない低い声。

私は藤原先輩に抱きしめられていた。

「ちょっ…!」

いくら何でもいきなりそれは!

咄嗟に離れようと思った瞬間、
肩を持ち、剥がすように体を離したのは藤原先輩の方で、

「ありがとう!」

私に向けられた表情は、今までに見た事のないくらいの満面の笑顔。

「いえ…」

そんな顔見せられても、どうしたら良いか分からなくて、目を逸らして返事する。

「じゃあ俺、みんなの所戻るから」
「えっ」

あまりにあっさり戻ると言うから、慌てて視線を戻すと、先輩は私の頭をくしゃくしゃと撫でて微笑んだ。

「これからよろしく、佳奈ちゃん」

それだけ言うと、息が詰まったみたいに何も言えなくなった私を残して、本当にあっさりと先輩は戻って行った。