13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「は…?」

“待って”なんか言われたら、無視して走って行くわけにもいかず、俺は足を止めるしかない。

振り返ると、背の小さな女の子。
自分も小さいのだけど、バレー部に所属していて、周りの女子の背が少し高めばかりったせいか、すごく小さく感じた。

「えと…あの…あー…」

女の子は俯いたまま、何か困っている様子。

何が言いたいんだ…?

告白?…ってこんな子知らないし。

だいたい今告白する奴なんていないだろ…
入学式に遅刻するっていうのに…
…遅刻?…遅刻!

「分かった!」

まるでクイズ番組の様につい声を上げてしまった。
だけど、その勢いのまま言葉を続ける。

「アンタどこ行けばいいか分からないんだろっ?」

このままだと遅刻すると思った俺は、返事も聞かずに、彼女の手を取って走り出した。

黙って引っ張られるまま、一生懸命走る姿に、

やっぱり、どこへ行けばいいか分からなくなってたんだ。

間違いないと確信する。