ドクン、ドクン…
大きく強く打つ、心臓の鼓動が苦しくて、気持ち悪くなりそう。
「や…でも、私…」
「さっき一緒に居た男子が、好きな人でしょ?」
指摘されて、顔がカァッと赤くなる。
やっぱりバレてたんだ…。
「彼女が居るの、俺も知ってるよ」
「…」
自分の気持ちを、派手に周りに公表していた翔。それに、藤原先輩は津田先輩と同じ学年だから、二人の仲を知っていても何ら不思議ではない。
「無理にさ、忘れなくていいから…俺と付き合ってみない?」
「…でも……」
先輩の優しい言葉に、心が揺らぐ。
今まで一度も誰かと付き合ったことのない私。
正直に言えば、“彼氏”その存在に興味はある。
でも、だから“付き合う”なんて、簡単に返事出来ない。翔を諦める決意こそしたものの、まだ完全に諦められてはいないから。
「実はさ、檜山さんの事ずっと気になってたんだ。…夏祭りの前から」
「え…」
「いつも寂しそうにこっちを見てたでしょ?」
「…」
こっち…男子バレー部の事だと、すぐに分かった。
私はいつも翔の影を探してた。



